Professor, Dr. Atsushi Deguchi

出口 敦 でぐち あつし/教授/環境学研究系

社会文化環境学専攻/空間環境学講座/空間計画学



略歴

1984年3月 東京大学工学部都市工学科 卒業

1986年3月 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻・修士課程 修了(工学修士)

1990年3月 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻・博士課程 修了(工学博士)

1990年4月 日本学術振興会・特別研究員

1990年12月~1991年5月 ウィーン工科大学・研究生

1992年4月 東京大学工学部都市工学・助手

1993年4月 九州大学工学部建築学科・助教授

1997年9月~1998年 8月 マサチューセッツ工科大学・客員研究員

1998年4月 九州大学大学院人間環境学研究科都市共生デザイン専攻・助教授(配置換)

2000年4月 九州大学大学院人間環境学研究院都市・建築学部門・助教授(配置換)

2006年1月 九州大学大学院人間環境学研究院都市建築学部門・教授

2011年4月より現職

2011年4月 九州大学大学院人間環境学府・客員教授


教育活動

大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻において、「空間計画」、「都市環境デザインスタジオ」、「社会文化環境学概論(リレー形式)」を担当。

工学部都市工学科において、「都市デザイン概論」、「都市工学演習」、「東京の都市計画(駒場総合科目・リレー形式)」を担当。

また、九州大学において、工学部建築学科の非常勤講師として講義「都市設計」を担当し、大学院人間環境学府の客員教授として、「都市設計学特論」「サステナブルデザインキャンプ」「アーバンデザインスタジオ」を担当。


研究活動

アーバンデザイン学を基礎にしつつ、主に下記の研究課題に取り組んできました。

1) 近年、低炭素社会の実現に向けて、都市から排出されるCO2の評価や低減に関する研究が国内外で盛んに進められている中、都市計画を支援する都市のサステ ナビリティ評価システムの開発研究として、都市活動による消費エネルギーや環境負荷に対して、都市情報を統合化するシステムにより長期スパンで都市からの CO2排出量を指標とする予測評価手法を独自に開発すると共に、都市開発や土地利用計画代替案が長期スパンでの都市のCO2指標に及ぼす効果や影響をシ ミュレーションにより明らかにしてきました(文献1、2)。

2) 九州等の古くからの歴史がある地方では埋蔵文化財の保存と都市開発の調整が主要課題の一つですが、埋蔵文化財データは膨大で十分整備されておらず、その活 用法も確立していませんでした。そこで、考古学分野の研究者と共同で九州大学移転を契機に糸島地域を対象にした埋蔵文化財データ整備に着手し、GISを援 用して対象地域の古墳や集落等の遺跡群集積地の時代別変化と古代の生活領域の変遷を明らかにすると共に、未発見の埋蔵文財の立地可能性分析に基づき立地推 定を支援する方法を提案しました。同研究は、都市計画学と考古学との学際研究及びGIS応用研究として特色ある成果を上げました(文献3)。

3) アジア都市研究として、活発に国際的研究活動を進めてきました。特に、アジア都市の特徴である仮設性や可変性に着目したフィールド調査を科研費等の助成を 受けながら、数多くのアジア都市で実施し、欧米都市空間とは異なる構成原理、変容過程、利用法等を明らかにしてきました(文献4、5)。また、その成果を 基にアジア都市の理解と共通の課題解決のためのアジア都市論(Asian Urbanism)を提唱し、自らチーフエディターを務める国際学術情報誌「Journal of Asian Urbanism」を平成20年度から年2回刊行するなど、国内外の研究者と協力しながら進めているアジア都市に関する教育研究成果の情報発信の取り組み は世界中から着目されてきています。

更に、アフリカや南米の植民都市の空間構成や変容についてのフィールド研究も進めてきました。

4) 社会連携活動と連動した実践的な研究として、フィールドとする福岡市を中心に社会連携活動にも積極的に取り組み、アーバンデザインの実践研究につなげてき ました。特に、地方都市の都心部では交通利便性や活力の低下が重要課題となっていますが、都心再生と課題解決には個々の都市固有の問題を分析し、その解決 方策を先行事例分析や実証実験等により検証する実践的アプローチが不可欠です。2004年には福岡市天神地区における交通混雑や違法駐輪等の課題解決に向 けた道路や駐車場・駐輪場施設の新たな利用法に関わる大掛かりな社会実験に実行委員長として参画し、既成市街地型の都心部ではわが国初と言えるエリアマネ ジメント協議会設立にも中心的役割を果たすと共に、社会実験を通じた研究成果をまとめ、エリアマネジメントの先駆的取組みに関する実践研究を進めてきまし た(文献6)。

5) 都市建築の持続化に ハビタット(居住)からの変革を目指す「ハビタット工学」の体系化を目指し、九州大学在職中に日本学術振興会(文部科学省)による組織的な大学院教育推進 プログラム(大学院GP)に採択された「アジア都市問題を解くハビタット工学教育」(2008~2010年)の取組実施担当代表として同プログラム教育を 推進し、その成果に基づき国内外の研究者や専門家と共に2011年10月に国際学会「International Society of Habitat Engineering and Design」(国際ハビタット工学会)を設立した。

 上記の他にも景観法に基づく全国初の広域景観計画の調査・立案など、先駆的な社会連携活動の成果を整理・考察して、先進モデルとして一般化する実践研究を進めてきました。

  また、九州大学が建設を進めている伊都キャンパスの計画に参画し、「九州大学新キャンパスマスタープラン2001」立案の責任者として、新時代の大学キャ ンパス像を具体化する計画や設計に参画してきました。マスタープランに基づく同キャンパスの計画・設計は、土木学会環境賞や福岡市景観賞を受賞するなど高 い評価を得ています。

[文献]

1) Atsushi Deguchi and Mihoko Takahashi: Method for Evaluating Life Cycle CO2 Emission and Energy Consumption of Urban Development - Assessment of Sustainable City and Built Environment -, Selected Papers from The 7th International Congress of Asian Planning School Association (APSA),pp.203-214, May 2004.

2) 高橋美保子, 出口敦:コンパクトシティ形成効果の費用便益評価システムに関する研究, 日本都市計画学会学術研究論文集, 42-3, 487-492, 2007年10月

3) 出口敦, 松浦裕己, 有馬隆文:遺跡群の視覚的関係と古代の空間分析に関する研究, 日本建築学会計画系論文集, 第582号, pp.95-100, 2004年8月

4) 北村博昭, 出口敦, 趙世晨, 黒瀬重幸:歩行者優先道路の賑わいと機能・空間構成に関する研究 -天津市旧祖界地におけるケーススタディ-, 日本建築学会計画系論文集. 第593号, pp.145-152, 2005年7月

5) 出口敦(編著), 王志剛, 三宅博之, 松田晋哉, 李賢姫, 新谷英明:アジアの都市共生 21世紀の成長する都市を探求する, 九州大学出版会, 2005年9月

6) 出口敦:福岡市天神地区における社会実験からエリアマネジメントへの展開, 交通工学, (社)交通工学研究会, 43巻6号, pp.26-31, 2008年11月


その他

主 な所属学協会:日本建築学会, 日本都市計画学会, 都市住宅学会, 不動産学会, 資産評価政策学会, 地理情報システム学会, American Planning Association (APA), Urban Land Institute (ULI), Congress for the New Urbanism (CNU), International Society of Habitat Engineering and Design (国際ハビタット工学会, 2011.10~会長)


将来計画

本研究室では、アーバンデザイン学、都市計画学、景観計画の分野を基礎に、サステナブルな都市づくりの観点から、街路・街区、地区、都市圏にいたる様々 なスケールでの計画とデザインを探求していきます。特に、コンパクトシティのデザインとエリアマネジメントに関する研究を進めていくと共に、国際的視野か らは、これまでのアジアの高密度都市のフィールド調査の蓄積に基づき、海外都市調査を進めながら、アジア都市の魅力と可能性を「Asian Urbanism」として提唱していきます。

 また、2006年創設の公民学連携の活動拠点であるUDCK(柏の葉アーバンデザインセンター)の中心的役割を担いながら、柏の葉地域をフィールドにしたアーバンデザインの実践と教育を推進していきます。


教員からのメッセージ

大学院は、アーバンデザインの実践を通じて専門知識や技術を習得する場でもあり、基礎的な理論を習熟する場でもあります。また、社会で高度な専門家として活躍できるための自信を身に着けるプロセスでもあります。

私自身は学生時代ラグビー部で活動してきたので、スポーツを通じた親善や心体づくりも、知的活動のエネルギー源となっていると信じています。スポーツの ゲームと同様に変化の早い社会では、集中力や洞察力、感性、直感的な判断力や機動力も必要とされます。研究や設計でも組織プレーの中で「個」を発揮する能 力を磨くことが欠かせません。

研究室では、常に新しいテーマにチャレンジしながら、問題作となる研究や作品を創り出していく活動を通じて、自分自身を鍛え上げていただきたいと思っています。

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