PROJECT 研究室の取り組み
ヴァーチャル都市・空間モデルの構築【2018~2019年度】
都市のヴァーチャル空間化に関する研究
当研究室では、次世代の都市計画手法を検討するために、「大学キャンパス」と「市街地」の2つをフィールドとして都市のヴァーチャル空間化・デジタル空間化に関する研究を進めています。
■ バーチャル本郷キャンパス・プロジェクト概要
近年IoT関係の技術開発の進展に伴って、都市空間に存在する膨大なデータを利活用し、これまで以上に合理的でダイナミックな都市計画を実現する「データ駆動型プランニング」が注目されています。本プロジェクトでは、本郷キャンパスを都市の縮図と見なし、今後都市計画分野で実現しうる先端技術を積極的に実証するテストベッドとして「仮想的な空間情報プラットフォーム(バーチャル本郷キャンパス)」を構築することを目的としています。
実際に、現在の本郷キャンパスでは、「エネルギー」「施設管理」「防災・安全」「景観計画」など、市街地における都市課題とよく似た課題を抱えており、国立大学の独立行政法人化以降は特に、東京大学は自らキャンパス運用の方針を定め、自律的なマネジメントにより対策を講じる必要に迫られています。そのためには各種空間データ(エネルギー消費、施設台帳、職員名簿等)を有効に利用することが考えられますが、本プロジェクトではこうした整備済みのデータを繋ぎ、バーチャル空間の基盤を構築することを目指します。また、本学には、多くの都市課題に対して深い専門知識をもつ研究者が多数在籍していますので、基盤整備を通じて、先端的な研究成果を実証するフィールドを提供するという点も期待されています。
■ 柏の葉バーチャルタウン・プロジェクト概要
本プロジェクトでは、柏の葉キャンパス駅周辺地区で培われたエリアマネジメントの体制を通じて収集された都市インフラ情報を統合し、サイバー空間で“バーチャルキャンパスタウン”のモデル構築を目指します。さらに、多角的なデータ分析を通じて具体的な施策へ繋げる“データ駆動型プランニング”への応用に向けて、基礎的な調査・実験と課題の整理を行います。
研究内容としては、研究協力者である民間事業者や行政より提供頂いた柏の葉キャンパス駅周辺地区の図面等を参照し、都市インフラ情報をBIM(Building Information Modeling)システムを利用して3次元のサイバー都市空間として構築します。様々な都市情報を統合するためのプラットフォームとしてこれを利用するとともに、柏の葉キャンパス駅周辺地区における具体的なまちづくりの課題に対し、最新のIoT機器(ウェアラブル端末やセンサー)等を利活用する上でサイバー都市空間を活用する手法の検討や、その実装のための課題整理を進めています。